気まずい時は、苦笑いがやっと…
僕の会社には、トイレが1つしかありません。
もちろん『大をする方』の事です。
なので、誰かが使っていた場合、時に我慢も必要になるのです……。
僕の日課の1つに『お昼はスッキリする!』というのがあります。
今日も日課通りに生きる予定だったのですが、お腹の調子が悪いのか
「出してくれ出してくれ」
とポケモン(仮名)が、せがんでくるので少し足早に向かいました。
そして、トイレに辿り着いたのですが、奥からノイズが聞こえてきました。
「ん~」スパパパパッ
その声はまさに、人間のそれであり、トンネル開通をしている音。
先客がいたのです。
僕も大人。待つ事は出来る。待とう!
念の為、扉の鍵をチェック。赤!
『赤』それは止まれの合図!!
したくないけどオシッコでもしようと思ったのですが、僕は異変に気づきました!
「音が……消えた…?」
いや、恐らく僕が入ってきた事で恥ずかしくて声を出せなくなっている。
そして、中の人が、お腹に力を入れれなくなってる。
「僕は今、迷惑な存在なのでは?」
と感じるのに時間はかかりませんでした。
『人に迷惑をかけるな』
幼い時に散々言われた言葉
外で待とう。まだお腹に余裕はある。
シャー…と手を洗い『もうトイレから出ましたよ』のサインを足で過剰に出し、僕はその場を後にした!
5分程たったかな?
ゆっくりバレないようにトイレへ近づき確認しましたが、テンポの良い息づかいを感じる。
僕は母に教わった優しさでもう少し待つことにした。
「なんくるないさぁー」
って具合で。
僕は考えが甘かった。
油断をしてしまいました!
屁が出てしまったのです!
僕にとってこの屁はとても危険なもの!
別名『カーニバル開始の鐘』
嫌な予感がしました。
そして、その予感は的中。
一般的な便意とは、じわじわと100%に近づくものと存じてますが、鐘がなってしまった僕の便意は、100%から襲いかかって来くるのです!
カーニバル開始の鐘がなってしまい、僕の肛門に近付くポケモンに
「時はきた!」
と言われた気がした僕は
理性を保つ事が困難になり、トイレの中の人に対して、怒りと憎しみがこみ上げていました。
ピンチな時こそ冷静に…
「エロイスエスタイム。エロイスエスタイム。」
僕が知る限りの呪文を唱えだした頃、中から
ジャーゴロゴローォォ…と聞こえてきました。
「これは……遂に出てくる!!」
助かった。
僕は、あえて自然に。
「今、初めてきました」
的な感じにトイレへ。
しかし、シーーーーンとする部屋
「あれ?もう出てったんかな?」
鍵チェック。
赤!止まれの赤!!
ははぁ~ん、さてはこのやろう!スマホいじってるな……。
バカヤロー!
もし僕がアントニオ猪木だったら扉をビンタしてアリキックして
「元気ですかー!!」
と扉を壊すのですが、僕は猪木じゃないし、割とシャープなアゴなので、僕にとっての最善策!
存在アピールすることにしました。
『待ってる人いますよ!!』と、足音をタンタン鳴り響かせました。
出てこない……。
「これでもかっ!」とタンタン続けました。今の僕にはそうするしかない!
たまにサンバのリズムでタタンタンとかしてました。
気まずい状況……
サンバに夢中になってた僕は、たまにトイレから目を離していたんですね。
これがいけなかった。
いつからなのか、わからないけど、トイレに目をやったら空いてるんですよ。扉が!
ええ。中の人、こっち見てるんですよ。
「何してるの?」
って目で。
「いやいやいや、アンタのせいだ!!」
とは言えず、僕は恥ずかしさと気まずさから、苦笑いをする事がやっとで、スッとトイレに入った。
人は気まずい時に『苦笑い』するんだなぁと、初めて気付きました!