一匹のダメ男でも誰かの役にたてたら良い日記

足のニオイが人一倍臭いダメ男が「こんな僕でも一万人に一人にぐらい役にたてたら」と思いながら書く日記

『言いたくても言えない状況』ってありますね!

プライドや恥ずかしさから、
言うに言えない事ってありますね。

例えば、ピザ屋さんのメニューの『ピッツァ』

注文するとき

「○○ピッツァ!」

って、ビシッと言う事、なかなか出来ませんね。

カレー屋さんの『カリー』もそう。
不思議な感情が芽生えて

「コレで!」

なんてメニューを指差して注文しちゃったりします。

少し話がズレてるかもしれないけど、そんな『言うに言えなかった』って話。

こうちゃんが家に来た!

前に記事にも出させてもらった、こうちゃん。

こうちゃんの事でまた一つ、忘れてはいけなかった事を思い出した。

『慰めあう事』それは時に残酷…。

水泳の件で、一躍ヒーローになった、こうちゃん。

その年の冬休み、こうちゃんが僕の家に来た。

親は仕事でいなかったので、二人でヨッシーのタマゴとかドクターマリオなんかをしてました。


すると


「ごめんトイレ」


と、こうちゃんが腹痛を催したようで、トイレに駆け込みました。


大人しくこうちゃんの帰りを待ってると

「わぁぁー!!」「えぇー!?」

と聞こえてきた。


「どうしたこうちゃん!?」

と思い慌ててトイレに向かいました。


すると、


「なぁ…ダメ男……。母さん、病気なの?」


と、なんだか落ち込みながら聞いてきました。


そんな事ないはず!

いたって健康!

今朝もバリバリうんこだってしてたし!


「今日も絶好調!」

なんて言ってたし!


僕は

「病気じゃないよ。なんでそんな事聞くの?」

と聞きました。

泳げるようになったからってコノヤロー!

「コレ…何?血じゃない?」

こうちゃんは『使用済みのナプキン入れ』を指差しました。


今となっては「なんでそれあけた?」と思いますが、当時、いたいけな8歳の少年2人。


その入れ物の中の『血』を見て大騒ぎしました。


僕は、焦った。
今朝だって元気だった母。


「絶好調!」


って言ってた母。


もしかしたら母は、僕が病気の事を知ったら悲しむと思って今まで黙ってたの?


色んな感情が入り乱れて立ち尽くす僕にこうちゃんが言った


「こんな量の血、重い病気だよ…」


「このシップ、きっと病院でもらったんだよ…」


「ちょっと臭いし…」


僕は、落ち込みました。


そんな僕にこうちゃんは慰めてくれました。


「大丈夫、大丈夫だよ」

と。


話の結果、僕の母の気持ちを考えて


『見なかった事にしよう。』


と決まりました。

こうちゃんとバイバイして。

母より先に、姉ちゃんが帰ってきた。


姉ちゃんは僕の7つ上。頼りになる。


僕は、姉ちゃんに相談しました。今日の出来事を。


姉ちゃんは面倒くさそうに言いました。


「大丈夫、病気とかじゃない」


「私だって同じ。血出るよ」


と。

少し、女性の体のメカニズムを教えてくれました。


僕、安心しました。姉ちゃんに聞いて良かった。


次の日、こうちゃんに言いました。


「お母さん、病気じゃなかった」

って。すると


「え?オバサン本人に聞いたの?」


と言うので


「ううん、姉ちゃんが言ってた。大丈夫だって!」


と言うと


「本当に?本当に大丈夫なの?」


としつこいので


「大丈夫。だって姉ちゃんも同じって言ってたし。血出るって言ってたし」


と言いました。


「えぇー?姉ちゃんも?」とか驚いてたけど、僕は「大丈夫!女の子ってそうなんだよ」と、あまり理解してなかったけど伝えた。


こうちゃんは「そっか……」と、心なしかションボリしてた。

月日が流れ、4年生になった

僕は、そんな事件があった事すら忘れてた。


今思えば少し、こうちゃんは事件以来、僕に優しくなってたように思う。


4年生の授業参観が始まった。


テーマは『将来の夢』


それぞれが将来の夢を作文にして、親たちがいる中、発表する。


僕は大工さんになりたかったので、夢を熱く語った。


それぞれが思う夢を、淡々と読む。


そして、こうちゃんの夢を語る番が来た。


授業参観が始まる前、こうちゃんは僕に言った。


「大丈夫!」


と。手をグッジョブにして言った。


「なんだコイツ」と思ったけどグッジョブ返しした。

こうちゃんの将来の夢

『僕の夢は、お医者さんになることです。そして沢山の人を助けたいです』


こうちゃん、しっかりしてるなぁー。て思いました。


親たちも「うんうん」て感じでした。


こうちゃん頑張れ!


「僕がお医者さんになろうと決めた、きっかけになる事がありました」

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━━━ん?━━━

「名前は言えませんが、友達の家に行った時、友達のお母さんが病気なのを知りました」

━━━まさか、、違うよね?━━

「友達は、大丈夫!病気じゃない!と言いましたが、僕に気を使って大丈夫!と言ったのだと思います」

━━━待って!気、使ってないよ?━━

「それは、友達が、お姉さんも同じ症状だと言ってたからです」

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━━何言ってんだコイツ…━━

「僕は、まだ子供なので、病気を治す事が出来ません。頑張れ!負けるな!と心の中で応援する事しか出来ません」

━━誰か…止めてあげて…━━

「僕は、お医者さんになって、応援だけじゃなく、病気を治せる人になりたいです。友達のお母さんとお姉さんの病気を治せるお医者さんになります!!」

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━━……………。━━

パチパチパチパチ

と響き渡る教室。

少し涙ぐむ、こうちゃん。


それに釣られてかハンカチで目元を押さえる、誰かのオカン。


僕、思いました。


「もう言わない方がいいな…」って。


「これ、言ったらダメだな…」って。


それから数ヶ月後。


僕は、今の所に転校しました。


結局最後まで、こうちゃんに真実を伝えれなかった。


こうちゃんはいつも優しかった。


使い方がわからないバトル鉛筆も沢山くれた。


カードダスのキラも沢山くれた。


転校する時、みんなが寄せ書きくれた。


『頑張れ!負けるな!』


と力強く刻まれたこうちゃんの言葉。


こうちゃん、お医者さんになれたかな……。

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